坂上田村麻呂の蝦夷征伐、藤原秀郷、平高望、源経基ら武士の台頭、僧兵、承平天慶の乱、源平の戦いなどの時代背景から、湾刀形で芯鉄(しんがね)を入れた鍛刀による強靭でしなやか、かつ信仰の対象ともなる日本刀の誕生はこの頃であるといわれている。「小烏丸」(御物)は平貞盛が平将門の乱を天慶3年(940年に平定した褒賞の刀と伝承されており、鍛造の特徴から、平安時代中期頃の大和鍛治の作と見られている。製鉄技術は当時貴重であり、租税として製鉄品が朝廷や寺社が取り立てており、自然と刀工の活躍地域は近畿地方、もしくは製鉄の産地から始まった。最も古いと見られているのは大和国に興った「大和伝」で、続いて「山城伝」、「備前伝」が興ったと見られている。この3伝法が今日に至るまでの刀剣製作の基本的な技法となる。特に大和伝は、奈良時代より奈良を中心に各地の寺社領へと広まったため、その影響下にある刀工は多い。(相州伝、美濃伝は上述3伝法を発展させて誕生した)
各地の伝法、流派、著名刀工は以下の通り。
大和伝 - 大和国(古千手院派・行信)。西国等(豊前国の神息、豊後国の僧定秀、行平、薩摩国の(波平派)行安、安行)、陸奥国(寶寿、舞草、月山等)。
山城伝 - 山城国(三条派・宗近、五条派・国永、兼永)
備前伝 - 備前国(古備前派・友成、正恒、包平)
その他 - 伯耆国の安綱、安家、真守、国宗。備中国(古青江派の正恒、貞次、恒次)。
元暦元年(1184年)から元弘3年(1333年)まで。
鎌倉幕府が相州鎌倉の地で興り、京都中心の前政治体制から大きく転換。前時代から萌芽の見られた武家社会が本格的に始まった。依然として製鉄産地での刀剣製作が主流であったが、鎌倉の地にても刀剣製作が始まった。幕府が各地の著名工を集ったと伝わり、備前から福岡一文字の助真、備前三郎国宗。京都から粟田口藤六左近国綱、新藤五国光が赴いた。 鎌倉で刀剣研究が行われる一方、承久の乱を引き起こした後鳥羽上皇は自らも作刀し、天皇家に遣える武家に太刀を与えた。これは「御番鍛冶制度」と呼ばれ、月替わりで、京、備前、備中等の著名刀工を招いた。中茎に十六葉の菊紋が彫ってあることから「菊御作」と呼ばれる。 承久の乱後、蒙古襲来があり、大鎧対抗を前提とした重厚な刀剣の姿から反省を生かし、今までの刀剣の姿に改良が加えられつつ、南北朝時代を迎えることとなる。鎌倉で作刀が始まったとは言え鎌倉時代の主力産地は備前であり、鎌倉で新たに興った「相州伝」は次の時代にその特徴が全国へ広まることとなる。主な流派は以下の通り。
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山城伝 - 山城国(粟田口派の則国、国友、久国、国吉、吉光、国安、国綱。綾小路派の定利、守利。来派の国行、国俊、国光、光包、了戒)。肥後国(延寿派の国村、国資、国時)
備前伝 - 福岡一文字派諸工。吉岡一文字派諸工。長船派の光忠、長光、景光。畠田派の守家、真守。宇甘派の雲生、雲次、雲重。
大和伝 - 大和国(千手院派。当麻派の国行、有俊。手掻派の包永。尻縣派の則弘、保昌派の貞吉、貞宗。)。備後国の古三原派、二王派。越中国の宇多派。その他は前時代の門跡を継ぐ(著名刀工に、筑前国の西蓮、実阿がいる)。
相州伝 - 相模国(新藤五国光、国廣、藤三郎行光、正宗)。越中国の則重
その他 - 備中国(中青江派の貞次、為次、康次、吉次、次吉)